国民年金 厚生年金 障害年金 遺族年金

国民年金と厚生年金は受けれる保障に差があります。

具体的には、障害年金と遺族年金では受給できる年金額に明確な違いがあるのです。厚生年金加入者の方がよりたくさんの金額を受給できることになっています。

残念ながら国民年金加入者は保障内容、受給金額において厚生年金加入者とはかなり差があるのが現状です。ですがその差を知っておくことで現在足りていない保障が分かるので、生命保険や医療保険を最適な保険金で選ぶこともできるようになるかと思います。

面倒だとは思いますが、国民年金加入者はいくら支給されるのか、厚生年金加入者の優遇度合いはどれくらいなのかをチェックすることは大切なことだと言えるでしょう。

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障害年金の受給額の違い

国民年金加入者も厚生年金加入者も、所定の障害状態になったときは「障害年金」を受給することができます。

ですが、国民年金は基礎部分である障害基礎年金しか受給することができないのに対し、厚生年金は障害基礎年金にプラスして2階部分である障害厚生年金も支給されます。

  • 国民年金加入者:障害基礎年金のみ
  • 厚生年金加入者:障害基礎年金+障害厚生年金

それでは、それぞれで障害年金はいくらくらい貰えるのか見ていきましょう。

国民年金の人が貰える障害年金額

国民年金加入者は障害基礎年金のみを受給できます。障害基礎年金は障害等級が1級と2級の人が受給することができますが、それぞれで貰える年金額は異なります。

具体的な金額については以下をご覧ください。平成29年度の障害基礎年金の受給金額情報です。

1級 779,300円×1.25+子の加算
2級 779,300円+子の加算
子の加算 第1子と第2子:一人につき224,300円
第3子以降:一人につき74,800円

例えば何らかの事故で1級の障害を負い、子供が3人いる場合の障害基礎年金は以下のようになります。

779,300円×1.25+224,300円+224,300円+74,800円=1,497,525円

となり、約150万円を受給できることになります。

※ 子供は「18歳到達年度の末日(3月31日)を経過していない子」を指します。

厚生年金の人が貰える障害年金額

厚生年金加入者は障害基礎年金の他に「障害厚生年金」を受給することができます。

障害基礎年金の受給額はすでに計算していますので、ここでは障害厚生年金がいくらになるのかを計算してみます。

障害厚生年金の年金額(平成29年度)は以下のようになっています。

1級 報酬比例の年金額×1.25+配偶者加給年金(224,300円)
2級 報酬比例の年金額+配偶者加給年金(224,300円)
3級 報酬比例の年金額 ※最低保障額:584,500円
障害手当金(3級以下) 報酬比例の年金額×2(1度きり)

「報酬比例の年金額っていくらなの?」という疑問があるかと思いますが、これに関しては計算式がとてもややこしいため、簡潔に説明させていただきます。

基本的には長く働いた人ほど、そして収入が高い人ほど報酬比例の年金額は高くなっていきます。一般的なサラリーマン(月収30万~40万円くらい)で、厚生年金加入期間が25年未満の場合だと以下の年金額になります。

1級:約80万円+配偶者加給年金(224,300円)
2級:約64万円+配偶者加給年金(224,300円)
3級:約64万円

1級の障害を負い、配偶者がいる場合は約102万円を障害厚生年金として受給できることになります。

また、厚生年金加入者は障害基礎年金も受け取ることができるので、例えば奥さんと子供3人がいるサラリーマン家庭で夫が1級の障害を負った場合は

800,000円+224,300円+1,497,525円=2,521,825円

合計で約252万円の障害年金を受給することができます。家庭環境にもよりますが、国民年金加入者よりも100万円くらい多く受給できる可能性があるので、いかに厚生年金が優遇されているかが分かりますね。

管理人taka管理人taka

ちなみに、厚生年金の加入期間が300ヶ月に満たない場合は「300ヶ月間加入していた」とみなして支給してくれます。そのため、20代や30代のうちに障害を負ってしまった場合でもかなりの金額の障害年金を受け取ることができます。

遺族年金の受給額の違い

国民年金も厚生年金も、加入者が亡くなった場合は「遺族年金」を家族が受給することができます。

ですが、この遺族年金も障害年金と同様、国民年金は基礎部分である遺族基礎年金しか受給することができないのに対し、厚生年金は遺族基礎年金にプラスして2階部分である遺族厚生年金も支給されることになっています。

  • 国民年金加入者:遺族基礎年金のみ
  • 厚生年金加入者:遺族基礎年金+遺族厚生年金

それでは、それぞれで遺族年金はいくらくらい貰えるのか見ていきましょう。

国民年金の人が貰える遺族年金額

国民年金加入者が死亡した場合、18歳到達年度の末日(3月31日)を経過していない子供がいる家庭の場合は遺族基礎年金が支給されます。

遺族基礎年金の支給額は、以下の計算式で求められます(平成29年度の金額です)。

遺族基礎年金額 779,300円+子の加算
子の加算 第1子と第2子:一人につき224,300円
第3子以降:一人につき74,800円

例として、家族構成を「妻、6歳と4歳、2歳の子供3人」とした場合の支給額は

779,300円+224,300円+224,300円+74,800円=1,302,700円

となります。約130万円の遺族基礎年金を毎年受け取れることになります。

遺族基礎年金→寡婦年金の流れ:

遺族にとって非常に助かる遺族基礎年金ですが、子供が18歳到達年度の末日を過ぎると受給されなくなります。

そこで代わりに登場するのが寡婦年金です。ただし、受け取るためにはいくつかの条件をクリアしている必要があります。

寡婦年金を受け取るための条件は以下の4つです。

  • 死亡した夫の国民年金加入期間が25年以上あること(免除期間含む)
  • 10年以上継続して婚姻関係にあったこと
  • 夫の死亡当時、夫により生計を維持していたこと
  • 65歳未満であること

以上の条件を満たすことで妻は寡婦年金を65歳まで受け取ることができます。65歳になったら支給はされません。

寡婦年金の受給額は「死亡した夫の老齢基礎年金の額×3/4」で求められるので、仮に夫が国民年金に30年間加入していた場合は毎年約44万円の寡婦年金を受け取ることができます。

厚生年金の人が貰える遺族年金額

厚生年金加入者は遺族基礎年金の他に「遺族厚生年金」を受給することができます。

遺族基礎年金の受給額はすでに計算していますので、ここでは遺族厚生年金がいくらになるのかを調べてみます。

遺族厚生年金の計算式は以下のようになっています。

遺族厚生年金額 老齢厚生年金の報酬比例部分×3/4
短期要件 厚生年金の被保険者期間が300月未満の時は300月として計算する

このようになっています。

ただ、障害厚生年金の時と同様、報酬比例部分の金額を求める式がとてもややこしいため、ここでは計算式などは割愛させていただきます。

基本的には長く働いた人ほど、そして収入が高い人ほど報酬比例の年金額は高くなっていきます。一般的なサラリーマン(月収40万円くらい)の夫が死亡した場合は、遺族厚生年金として約50万円くらいを受給できます。

また、国民年金の時と同じ家族構成(5人家族で18歳未満の子が3人)だった場合、遺族基礎年金は約130万円が受給できます。

厚生年金加入者は遺族基礎年金+遺族厚生年金が貰えますので

50万円+130万円=180万円

この金額を遺族年金として毎年受け取ることができます。母子家庭になってしまい、子供3人を育てなくてはいけない妻にとって、毎年180万円が受給できるのはかなり心強いと思います。

遺族基礎年金→中高齢寡婦加算→経過的寡婦加算の流れ:

また、子供が18歳到達年度の末日(3月31日)を過ぎると遺族基礎年金を受け取ることができなくなりますが、代わりに中高年寡婦加算を受給できるようになります。

中高齢寡婦加算は年額で584,500円(平成29年)となっています。ただし、妻が65歳になると中高齢寡婦加算は支給停止になり、代わりに老齢基礎年金と経過的寡婦加算が貰えるようになります。2つ合わせて中高齢寡婦加算の額と同額になります。