死亡一時金

死亡一時金とは、国民年金に加入している被保険者に万が一のことがあったとき、遺された家族に支給される死亡時の保障のひとつです。

死亡時の保障には「遺族基礎年金」「寡婦年金」「死亡一時金」の3つが用意されており、それぞれに受給要件が設定されています。それまで払い込んできた国民年金保険料が、掛け捨てられて無駄になることのないように、遺族がいずれかは受給できるようにと考慮された制度です。

その中でも死亡一時金は、他2つの要件に合わず受給できない方や、一時金として受け取ったほうが有利な場合にのみ、最終の手段として選ばれることの多い選択肢となっています。

このページでは、死亡一時金とはどのような要件を満たすと受給できるのか、そして受給できる遺族の範囲や受給金額など、詳しい制度内容をご紹介したいと思いますので、しっかりと概要を整理しながら見ていきましょう。

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死亡一時金の受給要件とは

まず初めに、受給対象となるのは「亡くなった被保険者と生計を同じくしていた遺族」です。

妻や子どもに限定される遺族基礎年金や寡婦年金と大きく異なる点は、この対象が広範囲という部分にあります。配偶者や子ども以外にも、同一生計の父母、祖父母、孫、兄弟姉妹であっても、受給する権利があるのです。

ただし、注意点として遺族基礎年金・寡婦年金・死亡一時金はいずれか1つしか受給できませんので、遺族基礎年金や寡婦年金の受給権があり、そちらを受け取る場合には死亡一時金は支給されません。

次に、亡くなった被保険者としての要件は、以下の通りです。

  • 第1号被保険者として国民年金保険料を36月(3年)以上納めている(免除期間を含む)
  • 老齢基礎年金や障害基礎年金を受給していない

被保険者と生計の同じ遺族の要件を満たしていれば請求することが可能ですが、手続きには期限があり、国民年金の被保険者が亡くなった日から2年以内と定められています。

そうハードルの高くない要件や幅広く設定された対象者からも、国民年金として「掛け捨てを回避するためのの最終的な救済措置となっている一時金」ということが見て取れます。

配偶者や子どもがいないから国民年金がすべて無駄になってしまう、というのは何だか大きく損をしたような気持ちになりますが、こうして身内に少額でも入ると思えば、幾分かは安心ですね。

遺族の受給順位

先述の受給対象者では、幅広い親族が対象となるとご紹介しましたが、その中でも受給者には以下のように明確な優先順位が決められています。

  1. 配偶者
  2. 子ども
  3. 父母
  4. 祖父母
  5. 兄弟姉妹

被保険者が亡くなった時点で最も優先度の高い人が、請求して支給を受けることができます。もし兄弟姉妹など複数の該当者が居た場合には、1人が代表者として受給し、分割して他の人へ分配します。

死亡一時金はいくら貰えるのか?

死亡一時金の支給額は、第1号被保険者として保険料を納めた月数に応じて決められています。目安となる月数や受け取れる金額は以下の通りです。

保険料納付済+免除期間 支給額
36月以上180月未満 120,000円
180月以上240月未満 145,000円
240月以上300月未満 170,000円
300月以上360月未満 220,000円
360月以上420月未満 270,000円
420月以上 320,000円

※付加保険料の納付済月数が36月以上ある場合には、上記金額に8,500円が加算されます。

免除期間を算入する際は、そのまま納付済期間と足すのではなく、免除の割合に応じた月数を合算します。全額免除期間は保険料納付済期間とはみなされず対象外となりますので注意しましょう。

■納付済期間・・実期間を算入
■4分の1免除・・3/4の期間(免除期間1年×3/4=9ヵ月)を算入
■半額免除・・1/2の期間(免除期間1年×1/2=6ヵ月)を算入
■4分の3免除・・1/4の期間(免除期間1年×1/4=3ヵ月)を算入
■全額免除・・対象外期間のため算入できません

そうして算出された月数を上記の表に当てはめると、どのくらいの死亡一時金が受け取れるのかがわかります。

ちなみに、注記にある付加保険料とは、第1号被保険者が定額保険料に上乗せして(月額400円)を納めることで、将来貰える年金を増額することができる制度です。もしこちらにも加入して納めていた場合には、8,500円が加算されて支払われます。

寡婦年金と死亡一時金はどちらかしか受け取れません

死亡一時金と寡婦年金は同時に受けることができませんので、どちらも要件を満たしている場合には、いずれか有利な方を選択しなければいけません。

通常であれば1回の支給で終わってしまう死亡一時金よりも、年金として継続的に受け取れる寡婦年金を選択したほうが有利なケースが多いのですが、中には死亡一時金を選択したほうが良いケースもあります。

  • 老齢基礎年金の繰り上げ受給など、寡婦年金が支給停止になるような事由を検討している
  • 65歳まであまり期間がなく、寡婦年金の受給できる期間が極端に短い

・・・・など

こちらも受給する際のご自身の状況に応じて、有利な方法を選択しましょう。