任意加入被保険者

国民年金は20歳から60歳までの40年間ずっと保険料を納付して、はじめて65歳からの老齢基礎年金が満額になります。長い道のりですよね・・。

ですが、40年間納付できていない人はどうなるのでしょうか?そう、65歳からの年金受給額が少なくなってしまうのです。また、平成29年4月からは10年間の納付期間があれば受給資格期間を満たしたことになりますが、60歳までに9年間しか払えていなかった場合はどうなるのでしょうか?そう、せっかく9年間も納付したのに、1円も年金が貰えないことになるのです。

そのような事態を防ぐために用意されているのが「任意加入制度」です。その被保険者になることで年金受給額の問題を改善させることが可能となっているのです。

日本人の寿命は年々伸びています。長生きできるのはとても良いことではありますが、同時に老後に必要となるお金も増えてしまうことになります。たくさん貯金があれば問題ないですが、そのような人はごく一部ですので、普通のご家庭の方は任意加入制度を利用して65歳以降の年金受給額を高くしておきましょう!

老齢基礎年金の満額の受給額っていくらなの?生活はできるのか??

まず初めに知っておきたいのは、国民年金を納付してきた人は65歳からどのくらいの年金を受給できるのかということです。

結論から言いますと、40年間ちゃんと納付した人は平成28年4月分からの年金額は780,100円となっています。

これは一人あたりの年金受給額(正確には老齢基礎年金と呼ぶ)ですので、夫婦2人で国民年金に加入していた場合の年金額は1,560,200円となります。年間156万円(月に13万円)というのは決して多い額ではありませんが、2人だけなら何とか生活はできると思います。

ですがこれより低くなるとかなり厳しくなると思われます。今は医療も発達し、健康的な食品もたくさんあり、そのおかげで長生きが出来る時代となっています。それ自体はとてもありがたいことではありますが、同時に老後の必要資金も増えてきてしまうという問題も発生します。

老後資金

「年金受給額が少ない+長生きする=お金が足りなくなる」という公式が成り立ってしまいますので、出来るだけ年金は満額にして受給したいところですよね。

また、独身の場合は一人分しか受給できず、年間で最大78万円しかもらえませんので、今この時点から貯金や共済、投資などの年金対策を取っていくことをお勧めします(年金を増やす方法については当サイトに詳しく載っています)。

管理人taka管理人taka

サラリーマンの方は厚生年金を払っているので、国民年金だけを納付している人よりもかなり多く年金が貰えます。

65歳からの老齢基礎年金を満額にするためには40年が必要!

では、65歳からの老齢基礎年金を満額の780,100円にするためにはどうすれば良いのでしょうか?

答えは一つ。国民年金に加入できる20歳から60歳までの期間中に、40年間休まずに払い続ければ満額の需給ができるようになるのです。

そうなのです、加入できる全期間の保険料を納付してはじめて、老齢基礎年金が満額になってくれるのです。なかなか厳しい条件ですよね・・。

ですが、ここで「じゃあ40年間に満たない場合は満額の受給はできないの??」という疑問が出てくると思います。特に、「平成3年3月までの学生」と「昭和61年3月31日までの専業主婦」は国民年金は強制ではなく任意加入(つまり入るも入らないも自由)だったため、支払っていない方も多数いるのです。

そのような国民年金保険料を支払っていない期間がある人は、当然ながら60歳の時点では満額となる40年間の納付を満たすことはできません。

「あれ、ひょっとしてもう老齢基礎年金を満額にすることは出来ないのでは・・」と不安になるかも知れませんが、その事態を解決できる方法を国が用意してくれています。それが任意加入被保険者になることです。

任意加入被保険者とは

20歳から60歳の期間中に年金を納付していない期間がある場合、60歳~65歳の間であれば国民年金保険料を納付することができるようになっています。

この制度を任意加入制度といい、この制度を利用して国民年金に加入している人を任意加入被保険者といいます。

任意加入被保険者になれるのは、細かく言うと3種類に分けられます。

  1. 20歳以上60歳未満で日本国内に住んでおり、老齢年金を受けることができる人
  2. 日本国内に居住している60歳以上65歳未満の人
  3. 外国に居住する20歳以上65歳未満の日本人

今このページで当てはまるのは2番目ということですね。老齢基礎年金の増額、または10年間の受給資格期間を満たすことが目的の時に利用できます。

1番目は特に知っておく必要があまりないので解説は省きます。

また、3番目は現在外国に住んでいるけど、将来的に日本で老後を過ごしたい・・なので老後の生活のために日本の年金が欲しいという方が利用するものです。

海外居住者が任意加入被保険者になる場合、保険料は親族に支払ってもらうか、または日本に住んでいた時の最後の住所地の年金事務所などで口座振替の手続きをする必要があります。

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注意点として、老齢基礎年金の繰り上げ支給を受けている人は任意加入できないということは覚えておきたいところです。(繰り上げ受給というのは、本来65歳から受給できる年金を、60歳から65歳になる間も受給できるようにする制度のことです。ただし、受取りを早めるとその後の年金受給額が減ってしまうというデメリットもあります。)

40年以上納付した場合はどうなるの?
国民年金の保険料は原則として40年(480月)を超えて支払っても老齢基礎年金の受給額が増えることはありません。また、トータルで480月に達した時点で強制的に任意加入被保険者の資格が喪失されるようになっています。
仮に480月を超えて保険料を納付した場合、超過分の保険料は本人に還付されるようになっています。

70歳まで任意加入被保険者になれる「特例任意加入」もある

国民年金の納付期間が足りず、65歳からの老齢基礎年金を一切受け取れない状況の場合、特例で70歳まで任意加入することができるようになっています。

条件は

  1. 昭和40年4月1日以前に生まれた人
  2. 日本国内に居住している65歳以上70歳未満の人
  3. 外国に居住する65歳以上70歳未満の人で、日本国籍を有する人
  4. 老齢基礎年金・老齢厚生年金の受給権がない人

となっています。また、特例任意加入によって受給資格期間を満たした場合、その時点で被保険者の資格を失います。

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ただし、「年金額を増やしたい!」という場合はこの特例を利用することは出来ません。あくまで受給資格期間を満たしていない方が対象となります。

60歳以降に厚生年金に加入しても、国民年金の計算期間には含まれない!?

ちょっとした注意点というか、豆知識として書いておきますが、実は60歳以降に厚生年金に加入しても、国民年金の加入期間として計算されることはありません。

例えば60歳になったけど国民年金の納付期間がは40年に満たない状況だったとした場合、このページで解説している国民年金の任意加入被保険者になることで満額の40年に近付けることは出来るのですが、もし60歳から会社勤めになって厚生年金に加入した場合、いくら保険料を払っても国民年金を満額の40年にすることは出来ないのです。

とても変な話とは思いますが、何故かそのように決まっているのです。

ただし、厚生年金として納付した保険料は経過的加算として年金額に加算されるようになりますので、特に損をするということはなくなります。これについては厚生年金のところでも詳しく解説していますが、この部分は少し難しいので、理解できなかったら飛ばしても構いません・・。

その他、任意加入制度に関するQ&A

任意加入被保険者は付加年金に加入できるの?
60歳から65歳までの任意加入被保険者の期間についても、付加年金に加入することは出来ます。老齢基礎年金を少しでも上げたい方は利用すると良いでしょう。
ただし、65歳からの特例任意加入の被保険者になった場合は加入することは出来ません。
免除期間がある場合でも任意加入被保険者になった方がいいの?
もし65歳からの老齢基礎年金を満額まで(もしくは満額近くまで)上げたいという場合は被保険者になり、保険料を納付することをお勧めします
保険料の免除期間は加入期間としては計算されますが、実際の年金額には反映されないという特徴を持っています。つまり、40年間納付したけど免除期間が1年あった場合、実際に支払った39年分の老齢基礎年金を受給することになるのです。