
結婚し、厚生年金に加入しているサラリーマンの扶養(主婦・主夫)になると第3号被保険者になることができます。
第3号被保険者には保険料の免除という大きなメリットがありますが、被扶養者の年収が130万円未満でなければならないなどの注意点があります。そのため、アルバイトやパートをする際には130万円を超えないように仕事のシフトを組むことも重要となってきます。
また、平成29年1月から個人型確定拠出年金(iDeCo)に加入できるようにもなりましたので、将来の年金対策と節税を考えている方はiDeCoについてもチェックしておくことをお勧めします。
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第3号被保険者とは?メリット部分を知っておこう
無職であろうとサラリーマンであろうと自営業であろうと、基本的には一定の年齢になるまでは国民年金に加入する義務があります(サラリーマンは厚生年金)。
そして国民年金には第1号から第3号までの種類があり、職業によって分けるようになっています。
基本的には自営業者、学生、フリーターの方は第1号被保険者となります。サラリーマンは第2号被保険者、第2号に扶養されている配偶者(主婦・主夫)の方は第3号被保険者となります。これに関しては下の表を見れば分かりやすいです。
第1号被保険者 |
・自営業・フリーター・大学生・無職・国会議員などの国民年金加入者。 ・20歳以上60歳未満の人。 ・受給資格が足りない人は65歳まで入れる。 |
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第2号被保険者 |
・サラリーマン・公務員などの厚生年金加入者。 ・70歳未満の会社員の人。 ・保険料の中に国民年金の分も含まれている。 |
第3号被保険者 |
・第2号被保険者に扶養されている配偶者。 ・20歳以上60歳未満。 ・仕事はしても良いが、年収130万円未満が条件(扶養者の収入の半分未満であること)。 ・保険料は払わなくて良い。 |
簡単に言うと、会社員は第2号被保険者(厚生年金加入者)となっていますが、その会社員の方と結婚して、扶養の立場になった配偶者(専業主婦・主夫)のことを第3号被保険者と言います。
メリット部分
第3号被保険者になった時に最もメリットとなるのが「国民年金の保険料を払わなくて良い」ということでしょう。
これまでは国民年金や厚生年金に強制的に加入しており、毎月保険料を支払っていたわけですが、結婚や妊娠後に退職して第3号被保険者になった場合には保険料を払う義務がなくなるのです。
しかも、それで第2号被保険者である旦那さん(もしくは奥さん)の厚生年金の保険料が増えることはありません。さらに将来は国民年金を支払ってきた人と同額の老齢基礎年金を貰えますので、専業主婦(主夫)の方にとっては非常にありがたい制度と言えるのです。

サラリーマンである夫の厚生年金保険料に、第3号被保険者である妻の保険料分が含まれている訳ではないということですね。無料の理由は「厚生年金保険に加入している方から集めた保険金などの一部を負担しているから」というのが正解です。(ちょっと分かりにくいので、これは知らなくても良いでしょう・・。)
第3号被保険者になる際に注意すべき点とは
かなりお得な第3号被保険者ですが、注意すべき点もあるので、そこはしっかりとチェックしておきましょう。
年収103万円と130万円の壁に注意!
まず知っておいて欲しいのが年収103万円と130万円の壁です。第3号被保険者の方は特に仕事をしてはいけないなどの制限はされていませんが、収入に上限があるのです。
- 年収103万円を超えると38万円の配偶者控除が受けられなくなる
- 年収130万円を超えると扶養の条件から外れてしまい、国民年金保険料(もしくは厚生年金)を自分で支払う必要が出てくる
この年収103万円と130万円の壁は聞いたことがある方も多いと思いますが、注意すべきは130万円の方です。
103万円の方は超えた時点で急に38万円の配偶者控除が受けられなくなるわけではなく、収入が増えると段階的に減らされるようになっています。控除が減るのはちょっと嫌なことではありますが、103万円を超えた時点で突然大きな損になるわけではないので、超えてしまっても「まあしょうがないか」で済ませられます。
要注意なのは130万円の方です。こちらは年収が130万円を超えた時点で被保険者の資格を失ってしまいますので、第1号の国民年金保険料か、もしくは職場で第2号の厚生年金保険料を支払う義務が出てきてしまいます。
そうなると年間で20万円くらいの保険料を払うことにもなりかねないので、一気に損になってしまうのです。
そのため、シフトを調整して年収を130万円未満に抑えておくか、もしくは130万円を超えてしまうようならもっとシフトを増やして、保険料分を上回るくらい大きく稼ぐようにするといった対策が必要になってきます。

130万円の縛りの中には「扶養者の収入の半分未満であること」も条件となっています。そのため、扶養者である夫(または妻)の年収があまり高くない場合は130万円未満であっても扶養から外れてしまうこともあるので、その点も注意が必要です。
60歳を過ぎると資格を喪失する
第3号被保険者には年齢制限があり、20歳以上60歳未満であることが決めれらています。
そのため、例えば夫がまだ会社で働いていて第2号被保険者であったとしても、妻が60歳になった時点で第3号被保険者の資格を喪失してしまうのです。
以後は国民年金に加入する必要もなくなり、65歳からの老齢基礎年金の受給を待つことになります。

老齢基礎年金は国民年金保険料を40年間支払ってようやく満額になります。そのため、60歳の時点で40年に満たない場合は「任意加入被保険者」となり、年金額が満額になるまで(最大で65歳になるまで)国民年金に加入することも可能です。
平成29年1月より個人型確定拠出年金(iDeCo)にも加入できるようになった
個人型確定拠出年金(iDeCo)という制度はご存知でしょうか?
個人型確定拠出年金とは「将来の年金に対して自分たちでも備えていこう!」という考えで作られたものであり、月々一定額を掛金として積み立てていくことができる制度です。
掛金は全額が所得控除になるので、長期的に見ると数十万円、数百万円の節税ができるという、今最も注目されている年金制度です。
そんな個人型確定拠出年金ですが、これまでは第3号被保険者である専業主婦(主夫)の人は加入できませんでした。ですが、平成29年1月より加入範囲が拡大され、主婦の方も月額2万3千円まで(年額27万6千円)の掛金を積み立てることができるようになりました。
将来の年金に少々不安が残る世の中ですので、自分でお得に積み立てられるものは是非とも利用したいところだと思います。そんな方に個人型確定拠出年金はかなり使える制度ですので、主婦の方も検討してみてはどうかと思います。
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第3号被保険者の手続き方法
第3号被保険者になるためには、第2号被保険者が勤めている会社から年金事務所へ「被扶養者(異動)届」ならびに「国民年金第3号被保険者該当(種別変更)届」を提出して手続きすることになっていますので、自分で何かする必要はありません。
また、60歳になって資格を喪失する時も自動的に扶養から外されるので、こちらで何かする必要はありません。
申請し忘れた場合は?
何らかの理由により、会社に申請するのを忘れた、または会社が年金事務所へ届け出るのを忘れてしまったという状況も起こりえます。
その場合、過去2年間であればさかのぼって納付済みにしてくれるという救済を行ってくれますので、気付いた時点ですぐに申し出るようにしましょう。
収入が130万円を超えた場合、または離婚した場合
収入が130万円を超えた、または離婚によって被扶養者としての資格を喪失した場合、「被扶養配偶者非該当届」を事業主経由で日本年金機構へ届け出ることになっています。
また、その際に第1号被保険者(国民年金加入者)になる場合は、種別変更届をお近くの役所の年金課へ届け出るようにしましょう。