経過的加算

経過的加算って難しいですよね。日本年金機構などのHPで調べようとしても、「定額部分から老齢基礎年金を引いて○○○×××・・」という何だか訳の分からない説明が出てきて、そっと戻るボタンを押した方も少なくないと思います。

経過的加算はまともに解説を読もうとすると結構難しいのですが、簡単な考え方をすれば意外と簡単に理解できたりします。

このページではそんな難しそうな経過的加算について、出来るだけ分かりやすく解説していきたいと思います。人によっては経過的加算の仕組みを知っておくとお得な選択ができる方もいますので、今のうちにしっかりチェックしておくのがお勧めです。

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経過的加算で知っておきたい2つの考え方

経過的加算は日本年金機構の解説だと

65歳以降の老齢厚生年金には定額部分から老齢基礎年金を引いた額が加算されます。これを経過的加算といい、65歳以降も60歳からの年金額が保障されることになります。

とありますが、これだけだとイマイチ理解しきれませんので、別の方向から解釈することにします。

その解釈方法は以下の2つになります。

その.1 20歳前、60歳以降に厚生年金加入期間を増やすと経過的加算が増える

20歳から60歳までの間に厚生年金に加入していると、同時に国民年金の保険料も払っていることになります。なので当然、65歳からの老齢基礎年金(国民年金加入者が貰える年金)も、厚生年金の加入期間に応じてもらうことができます。

厚生年金と国民年金の違いは?
厚生年金に加入している人は、同時に国民年金の保険料も払っていることになります。つまり、65歳からは老齢厚生年金と老齢基礎年金の二つが貰えることになります。
対して国民年金加入者は65歳からは老齢基礎年金しかもらえません。厚生年金と比べると保険料は低いですが、貰える年金にかなりの差があるのが現状です。

ですが20歳前と60歳以降は「国民年金の納付義務ではない期間」であり、この期間に厚生年金に加入していたとしても国民年金の加入期間には参入されず、老齢基礎年金にも反映されないのです。

せっかく厚生年金を払っているのに、老齢基礎年金に反映されないのは損ですよね。

例えばですが、20歳から60歳の間、国民年金に40年間加入している方は満額(40年分)の老齢基礎年金が貰えることになります。

ですが、18歳から58歳の40年間厚生年金に加入していた場合は、18歳と19歳の2年間分に関しては国民年金の加入対象外になってしまうため、老齢基礎年金は38年間分しか反映されないのです。同じ40年の加入なのに・・(老齢厚生年金はちゃんと40年分を貰えます)。

この損になってしまう部分を解消するために設定されたのが経過的加算という考え方なのです。上の例だと18歳と19歳の2年間分の国民年金が空白になってしまいますが、この期間分を経過的加算として加えることで、損をしていた部分をなくしてくれるのです。

ちなみに、経過的加算として計算される年金額は、国民年金として計算される老齢基礎年金の金額とほぼ同じです。両方とも1年間の加入で、年金額が約2万円が増えることになります。つまり、上の例だと2年間が経過的加算として計算されますので、約4万円が増えることになりますね。

例として、もしも22歳で就職して60歳まで働いていた場合は厚生年金加入期間が38年となりますが、60歳から頑張ってあと2年間会社で働き、厚生年金に加入すれば経過的加算として4万円を増やすことができるのです。かなりありがたいですね。(ちなみに、このケースだと60歳から国民年金の任意加入制度を利用して2年間国民年金に加入することで、同様に老齢基礎年金を約4万円増やすことができます。ただし、こちらは国民年金への加入なので老齢厚生年金は増えません。)

簡単にまとめると

厚生年金の加入期間が40年に満たない人が60歳以降(または20歳前)に厚生年金に加入することで、経過的加算を増やすことができる(1年間の加入で約2万円増やせる)

ということですね。

その.2 厚生年金の加入期間は通算で40年まで

上の解説だと、60歳以降もどんどん会社で働いて厚生年金に加入し続ければ、その期間に応じて経過的加算もどんどん増えていくのでは?と考えた方もいると思います。

ですが、残念ながら厚生年金の加入期間が通算40年になると、経過的加算はそれ以上は増えなくなります。もちろん老齢厚生年金は増えてくれますが、経過的加算は40年の加入期間が限度ということは覚えておきたいところです。

【注意!】20歳から60歳までの間で国民年金の加入期間がある場合は?

もしかしたら「20歳から60歳までの間で国民年金に加入していた期間があり、厚生年金と通算すると40年を満たす場合は、経過的加算を増やすことができないのでは?」という疑問を覚える方もいることでしょう。

これに関しては「大丈夫、増やせます!」と答えることができます。

例えばですが、20歳から22歳までの学生である2年間は国民年金に加入し、22歳から60歳までの38年間を厚生年金に加入していた場合、国民年金の加入期間は確かに40年間になっているのですが、>経過的加算は厚生年金の額に加算される「厚生年金側の制度」のため、60歳以降も厚生年金に加入することで2年間だけは経過的加算を増やすことが可能なのです。

ちょっと難しいかも知れませんが、これは大学出の多くの方が年金を増やす方法にもなるので、該当する方は知っておくと良いでしょう。