
厚生年金に加入していた人が65歳から受給できる年金が「老齢厚生年金」です。国民年金の「老齢基礎年金」の受給額をさらに充実させた内容になっています。
平成29年8月からは国民年金と厚生年金を合わせて10年間の納付期間があれば受給資格期間を満たしたことになり、65歳からの老齢厚生年金が受け取れるようになっています。(平成29年7月31日までは合わせて25年の期間が必要)
ただ、65歳からの老齢厚生年金自体は1ヶ月間だけ厚生年金に入っていればOKですし、さらに65歳以前に受け取ることができる「特別支給の老齢厚生年金」に関してはまた少し受給要件が変わってきます。
このように受給要件がちょっとだけ複雑かも知れませんが、流れで理解すれば特に難しいことはありませんので、老齢厚生年金について知りたい方はチェックしておいてください。
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老齢厚生年金とは
老齢厚生年金とは、サラリーマンなどが加入する厚生年金から支給される老齢年金のことです。老齢厚生年金は65歳からの支給となりますが、現在は65歳前からも給付される仕組みになっています(これを特別支給の老齢厚生年金と言います)。
自営業者が入る国民年金では、月々の保険料が安い反面「老齢基礎年金」しか支給されません。しかし厚生年金に加入していた場合は月々の保険料がかなり高いですが、「老齢基礎年金+老齢厚生年金」のダブルで受給することが出来るのです!
図で見るとこんな感じになります。
厚生年金加入者は将来の年金を2階建てで貰えるということですね。これは国民年金と比べると金銭的にはかなりメリットとなっています。
また、老齢厚生年金の特徴をまとめると以下のようになります。
- 老齢基礎年金と老齢厚生年金の2本立てで受給できる
- 加給年金と振替加算がある(年下の妻の場合、年金額が加算される制度のこと)
- 特別支給の老齢厚生年金(65歳前から年金が貰える制度のこと)
- 在職者の老齢厚生年金(年金を受け取りながら働く場合、年金額が減ってしまう制度)
- 障害厚生年金(障害状態時に年金が支給される)
- 遺族厚生年金(配偶者が死亡時に年金が支給される)
どうでしょう、意味が分からないものが多いですかね・・。これらの項目はそれぞれ説明が必要なため、別ページで詳しく解説しています。このページではそれ以外の「老齢厚生年金の受給資格」についてのみ解説していきますので、安心して読み進めていってください!(受給額についてもこのページでは解説しません)
老齢厚生年金の受給資格、必要な加入期間について
老齢厚生年金は以下の2点を満たすことで65歳から受給できるようになります。
- 老齢基礎年金の支給要件を満たしていること
- 厚生年金保険の被保険者期間が1ヶ月以上あること
解説.1 老齢基礎年金の支給要件って?
まず一つ目の「老齢基礎年金の支給要件を満たしていること」ですが、これは平成29年8月からは国民年金と厚生年金を合わせて10年間の納付期間があれば支給要件を満たしたことになります。ちなみに平成29年7月31日までは合わせて25年の期間が必要でした。
ここで重要なのは「国民年金と厚生年金の加入期間を合わせて」という点にあります。つまり、国民年金の加入期間が5年間あり、そこから会社勤めを開始して厚生年金に加入した期間が5年以上ある場合は5年+5年=10年となるため、受給資格期間を満たすことになります。
極端に言うと、国民年金9年+厚生年金1年の組み合わせでも大丈夫です。
解説.2 被保険者期間が1ヶ月以上とは?
これは、会社に入って1ヶ月間だけでも厚生年金に加入している期間があれば受給資格を満たすという意味です。会社員として勤めた経験がある人は自然とクリアしている支給要件ですね。特に気にしなくても良い点とも言えます。
ただし、1ヶ月だけ厚生年金に加入したとしても貰える老齢厚生年金の額は2,000円程度(平均月収40万円くらいの場合)にしかなりませんので、より多くの老齢厚生年金を受け取りたい場合は継続的に会社員として働き、厚生年金保険に出来るだけ長く加入しておく必要があります。
反対に一度も厚生年金に加入していない場合は老齢厚生年金は受給できず、国民年金の老齢基礎年金のみの受給になります。
実は65歳以前から貰える!?今だけ適用される特別支給の老齢厚生年金について
これまでの説明は65歳から貰える老齢厚生年金の受給資格についてでした。
ですが、実は今は特別支給の老齢厚生年金という制度があり、当分の間は60歳から64歳までの間も老齢厚生年金が特別に支給されるようになっています。
ただし、特別支給の老齢厚生年金にも受給要件があり、それを満たす人のみ受給することができるようになっています。
- 男性は昭和36年4月1日以前生まれ、女性は昭和41年4月1日以前生まれの人
- 老齢基礎年金の支給要件を満たしていること
- 厚生年金保険の被保険者期間が1年以上あること
これまで解説してきた通常の老齢厚生年金と異なる点は、生年月日で制限があることと、厚生年金の被保険者期間が1ヶ月ではなく1年というところです。
特に生年月日が重要で、男性も女性も定められた日以後に生まれた場合は65歳以前の年金については貰うことができません。
また、生年月日が早ければ早いほど受給年齢が早くなり、男性は昭和28年4月1日、女性は昭和33年4月1日までに生まれた場合は60歳から特別支給の老齢厚生年金を受け取れるようになっています。
特別支給の老齢厚生年金については深く突き詰めるとまだまだ解説する部分がありますので、改めて別ページで解説させていただきます。