
20歳から60歳までの40年間国民年金保険料を払い、65歳から年金を受け取るのが老齢基礎年金です。老後の生活の助けになるありがたい制度ですが、40年間の間に保険料の支払いを忘れていたり、経済的な理由で支払うことができなかったりすることもあるかもしれません。
そんな時に活用できるのが、払えなかった「未納期間」をリカバーできる後納制度です。今回は、後納制度を利用することのメリットや、後納制度と間違いがちな「追納制度」について見ていきたいと思います。
スポンサーリンク
後納の制度内容(何年前まで支払えるのか)
後納制度とは、文字通り国民年金保険料を「後から納める制度」のことを言います。
国民年金の保険料は2年を過ぎると時効になり、納付ができなくなるのをご存知でしょうか?
例えば、平成27年10月分の保険料なら、平成27年の11月末が納付期限です。そこから更に2年を経過した平成29年11月末日を過ぎると時効となり、保険料を納付することができなくなるのです。
ですが、例外的に平成30年9月までであれば申請した月の前5年以内であれば、遡って未納となっていた月の保険料を支払うことができます。このことを保険料の後納と言います。
また、後納制度を利用できるのは
- 20歳以上60歳未満で、5年以内に納め忘れの期間や未加入期間がある方
- 60歳以上65歳未満で、上記の期間のほか任意加入中に納め忘れの期間がある方
- 65歳以上で、老齢年金の受給資格がなく任意加入中の方など
です。ちなみに60歳以上で老齢基礎年金を受け取っている方は申し込みができませんので、ご注意ください。
この時効になった期間を5年前まで遡って納められる特例は、平成27年10月から平成30年9月までの3年間に限り、となっています。自分の年金記録を一度確認してみてはいかがでしょうか。
追納との違いについて
後納制度と勘違いしてしまいがちな制度に「追納制度」があります。
追納制度は、過去10年以内の免除期間や猶予期間分の保険料を納めることができる制度です。この免除期間という枠には学生納付特例制度の期間や、納付猶予を申請していた期間も含まれます。
追納する時は、学生納付特例や納付猶予期間の中で一番古い月分から納めます。学生納付特例や納付猶予期間の分の納付が終わると、次は免除期間分について古い月から順に納めていきます。
つまり、「後から保険料を納める」という点では同じなのですが、後納で納めるのは「単純に払っていない分の国民年金保険料」それに対して、追納で納めるのは「免除や猶予を利用したため、結果的に払っていない分の国民年金保険料」で、支払いをする対象期間が違うということですね。
後納のメリット
ここでは後納することで得られるメリットについて2つ挙げてみたいと思います。
「未納のままにしているけど、やっぱり払うべきなのかな?」と不安になっている方は良ければ参考にしてみてください。(個人的な意見としては、払った方が間違いないと思います。)
メリット1 年金を受けるために必要な資格期間を増やせること
老齢基礎年金を受け取るためにはいくつかの基準がありますが、その中の一つが「10年以上加入期間があること」(平成29年4月からは受給資格期間が25年から10年に短縮されました)です。
受給資格期間が10年に満たない人、つまり、老後に無年金に成ってしまう人は約26万人と言われています。将来無年金になるリスクを減らすための方法のひとつになるのは、後納制度のメリットといえるでしょう。
メリット2 将来受け取る年金額が増額すること
老後の年金額は、保険料を納めていた期間によって受取額が変わります。後納できる期間を逃して未納期間になってしまうと、その分だけ年金額は減少してしまうのです。
後納制度は年金額を増額できるチャンス、とも言えるのです。
後納の利用手順
後納保険料を納めるには、年金事務所への申し込みが必要です。
必要な書類は「国民年金後納保険料納付申込書」で、この申込書は年金事務所から取り寄せるか、日本年金機構ホームページから印刷することができます。
⇒国民年金後納・特定保険料納付申込書
⇒国民年金後納・特定保険料納付申込書の記入例と注意事項(後納制度のみご利用の方用)
この書類を年金事務所に提出すると、後納できる期間や受給資格の有無などを確認・審査・承認が行われます。承認されると承認通知書と納付書、リーフレットが本人宛に郵送で届きます。
記載されている使用期限までに、後納保険料を納付します。(市町村役場や年金事務所ではできないので、金融機関の窓口やコンビニエンスストアで納付します。)
自分の年金納付状況を確認しよう
後納制度を利用できるのも5年以内と決まっており、それを過ぎてしまうと後納制度を利用して年金を支払うことが出来なくなります。
もしキチンと支払っておきたいと考えているのであれば、自分の納付状況をチェックしておくと良いでしょう。具体的には、一年に一度届くねんきん定期便を活用して自分の納付状況を確認しておくか、またはねんきんネットを利用すれば、パソコンやスマートフォンでこれまでの年金記録をいつでも見ることが出来ます。
⇒ねんきんネット|日本年金機構
未納期間や免除期間はできるだけ後納・追納制度を利用して納め、老後の生活への不安を少しでも軽くしていきたいですね。